こうして僕は「好かれる」話し方を身につけた
持梨一郎(仮名・26歳)は、悩んでいた。
それは、3日ほど前のことだ。この春から配属された販売促進課で、課長に呼び出されて、こんなことを言われてしまったからだ。
「ちょっと何、この企画?持梨君ってさ、ぜんぜん女性の気持ち、わかっていないわよね。ひょっとして女性とつき合ったこと、ないんじゃないの?」
図星、だった。身長176センチ、細身だけど意外と筋肉質。顔は、自分ではよくわからないが、友だちにはテレビでよく見る男性タレントに似ていると言われる。ファッションにもそれなりに気を遣っているし、都内のワンルームマンションにひとり暮らし。クルマだって一応持っている(国産車だけど)。なのに、助手席に乗せた女性は妹だけ、部屋に来たことがあるのは母親だけ。
「いったい、どこが悪いんだろう?」
そんなとき、ふと持梨の脳裏に浮かんだのが、中学・高校と同級生だった本根裕子(仮名。26歳)だった。数日前、企画ポスターの撮影で、メイクを担当したのが本根だったのだ。昔から、誰に対しても歯に衣右せずにズバズバとものを言う性格は、まったく変わっていなかった。
「ちょっと、次国の企画のことで相談したいんだけど」
ちょっぴりウソを言って本根を呼び出すと、持梨は正直に打ち明けてみた。出会い系サイト 一覧
「じつは、その、課長からさあ、お前は女性の気持ちがわかっていないって……」
「あのね、はっきり言っていい?」
「い、いいけど……」
「持梨君って、女子の間でけっこう人気あったのよ。顔だって悪くないし、勉強もできたほうじゃない」(ホントにぽ)
「でも、それはクラス替えしてから1カ月だけ、だって話をしてみると、ぜんぜんおもしろくないんだもの。そもそも、持梨君って、自分から話しかけなかったでしょ」
自分がモテない理由が「話しベタ」にあったことを聞かされた持梨が、まるでセミの抜け殻のようにボーッとしているところに、電話がかかってきた。会社の同僚で仕事の関わり合いもある営業一課の原田達夫(仮名。27歳)からだった。
「なんか最近表情が暗いけど、悩みでもあるのか?まあ俺もさ、あんまり偉そうなことは言えないけど、相談相手くらいにはなれると思うよ。よかったら、出てこないか?」
その日の夜、久しぶりに飲むことにして、電話は終わった。(そういえば、あいつ、背もちっちゃくて顔もイマイチなのに、なぜか社内でも取引先でも女性にモテるんだよな……)
持梨が約束の時間に店に入っていくと、すでに原田はカウンターでビールを飲みながら、隣の女性と親しげにしゃべっている。
「あ、ゴメン、待たせちゃって……そちら、知り合いの方?」
「いや、たまたま、隣に座らせてもらったから……じゃ、連れが来ましたので、僕ら、席を移りますね。よかったら、のちほど」(あちゃ~、なんという早ワザ)
「悪いな。その、何ていうか、ワザワザ来てもらっちゃって……」
「いいって、いいって、気にすんなって。それよりさ、持梨、ハラ減ってんじゃないのか?職場から直行だよな?なんか軽く食おうぜ」
原田も仕事帰りのはずなのに、それを感じさせない親しみのある話し方。しかも、こちらの状況を瞬時に把握して、的確な話題を選び、スッと入り込んでくる。いつの間にか、目の前にソーセージやらポテトやらが並んでいて、それらをつまみながらビールを飲み、気がついたらふたりでにこやかに談笑していた。こりゃあ、モテるわけだ。
「頼む!原田、のその会話術を、俺に教えてくれ!」
そう言って頭を下げる持梨を、原田の真剣な眼差しがとらえた。
「はっきり言って、カンタンじゃないよ」
「・・・・・!」
「なんてな。ダイジョブ、ダイジョブ。俺だって、先輩のマネをしたり、本を読んで勉強したんだから。持梨だって、がんばればきっとコツがつかめるはずだよ」
それからの1年間、持梨は月に2~3回のペースで原田と会うことになった。ふたりきりでバーに行くことも、知り合いの飲み会に誘ってもらうこともあった。
また、まったく知らないメンバーとの合コンにも参加した。持梨が飲み会のセッティングを任され、メンバーがすべて男という失敗もした。そんな経験を重ねながら、持梨は少しずつ会話術を身につけていったのだ。
それから10年。今では持梨も会社の重要な企画を任されるまでに。部下もたくさんいる。そして、結婚もした。
そんな持梨に、ある日、26歳になる部下がこんな相談を持ちかけてきた。
「スミマセン、女性にモテるようになるには、どうしたらいいんでしょう?」
原田から教わったことや自分で見つけた「コミュニケーション術」を、忘れないうちに書きとめておこう。
持梨がそう思ったのは、このときだった。
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2011年10月20日 | コメント/トラックバック(0)|
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